
Interview with Yamasawa Press
Share
THE UNSCENTED COMPANY × ヤマサワプレス |伊勢丹で実現した“命を吹き込む”コラボレーション
今回、伊勢丹新宿本店地下2階 ビューティーアポセカリーにて開催のPOP UPにて、ヤマサワプレスさんとのコラボポーチのセットアイテムが登場いたします!
そこで、アップサイクルデニムで世界に挑む山澤さんに、今回のコラボやデニムへの想い、会社の取り組みなど、”ものづくりの今”をインタビューしに行きました!
――今回はTHE UNSCENTED COMPANYとのコラボレーションにあたって、オリジナルのデニムポーチを制作いただきました。ポーチのこだわりは?
山澤:今回のポーチは、廃棄デニムのレングス部分を使用しています。一点ごとに異なるデニムの風合いや、ベルトコードを活用したボタン部分やステッチなど、デニムジーンズの個性を活かしたポーチに仕上がっています。容量もたっぷり入り、デニム生地なので耐久性があり、汚れたら洗える。長く使えるよう、機能性にもこだわったポーチになっています。
――アップサイクル製品づくりはいつから?
山澤:始まりは2019年にアメリカに行った際、捨てられるのを待つだけのリーバイス501との出会いでした。直感的に「このまま捨てられるのはもったいない」と感じ、20トンまとめて購入しました。「このジーンズをどうにかして生まれ変わらせたい」という思いから、届いたジーンズをいかに綺麗に汚れと匂いを落とすか試行錯誤を重ね、オリジナルの洗浄レシピを確立しました。
そこからは、デニム生地を扱ってくれる相手を探して奔走。最初はでっかいデニムのパッチワークを担いで、東京中を歩いてました。「これで服作ってください!」って。完全に怪しい人です(笑)。
――まさかの飛び込み営業!
山澤:そしたら「なんか面白いやつが生地を持って歩き回っている」って噂が伊勢丹に届いて。それが最初のきっかけでした。そこから1年かけて企画を練って、2022年に”デニムdeミライ”というイベントを開催しました。伊勢丹新宿店では初の古着販売だったそうです。
――そこから今では伊勢丹の全ウィンドウジャックですもんね。すごい展開です!
山澤:本当にそうですね。今年のピースdeミライでは、服飾学生とのコラボレーションや審査員としてステラ・マッカートニーが参加してくれました。また、第一回目のデニムdeミライという企画で参加してくれた学生がヤマサワプレスに入社してくれたりと、続けることの意味とそこから繋がっていく縁を感じます。
■廃棄寸前のジーンズから、価値を生み出す
――山澤さんが扱ってるのは、いわゆるヴィンテージとは少し違う感じですよね?
山澤:ヴィンテージというよりも「レギュラー」なジーンズのアップサイクルです。1980年代から2000年代初頭のリーバイス501を中心に、古着としても売れ残った、廃棄寸前のジーンズです。
――なるほど…いわば“落ちこぼれのジーンズ”。
山澤:はい。でもそこにこそ可能性があると思って。2019年に20トンまとめて買い取ったんですが、届いたら真っ黒で臭くて(笑)。洗っても全然匂いが取れない。
――そこからどうやって、あんな綺麗な状態に?
山澤:全部手洗いです。お湯の温度や洗剤の配合、押し加減まで、まるで料理のレシピみたいな感じで。冬は地獄ですよ(笑)。
――洗う際の洗剤や排水について、気をつけていることはありますか?
排水には特に気を配っていて、水源にやさしい洗剤を使用するようにしています。また、洗濯の際はもちろん、衣類を扱うときに、生地に余計な香りや成分がつかないよう、スタッフには香りの強いものを身に纏わないようお願いしています。
そういった点でも、THE UNSCENTED COMPANYの無香料製品はとても相性が良いと感じています!ハンドソープも愛用していますが、本当に香りがなく、しっかり保湿される使い心地はスタッフからもとても好評です。
■デザイナーが“素材”をプロダクトに変える
――その生地を使って、ブランドやデザイナーとのコラボもされていますよね。
山澤:はい。僕たちはあくまでも、“完璧な素材”を届けることに徹しています。匂いや皮脂を感じさせず、それでいて風合いはしっかりと残す。そこに命をかけていると言ってもいいくらいです。
――じゃあ、デザインに口出しは?
山澤:一切しないです。以前、パッチワーク生地を何層にも重ねて、樹脂で固めて“木のような生地”を作ったことがあるんですが、あれも発想はデザイナーさんから生まれたものです。その生地は家具の技術を応用して仕上げましたが、そうやって、技術と知識でアイデアを形にしていくことを大事にしています。
――アイデアを形にするのがプロの仕事なんですね。
山澤:そうなんです。僕らは“仕込む人”。そして、彼らが“料理人”です。
■"アップサイクル=サステナブル”を超えていく
――アップサイクル製品って、「環境に良いから」ってだけじゃ続かないですよね。
山澤:うちは、「かわいいから欲しい」「かっこいいから着たい」が最優先です。おしゃれじゃなきゃ買われない。サステナブルというのは結果として後からついてきたもので、プロダクトとしての美しさや機能性を一番大切にしています。
――心から共感します。その姿勢がプロダクトにも表れてますね。
山澤:ありがとうございます。目指してるのは“サステナブルに見えないサステナブル”。古着にしか出せない味があるので、それをちゃんとプロのレベルで届けたいんです。
――今回のコラボレーションでも、「良いものを一緒に作りあげたい」という想いを共有できたと感じています。
はい。THE UNSCENTED COMPANYの洗練されたパッケージデザインにはとても魅力を感じました。率直に、とても素敵だなと思いましたし、ギフトやトラベルポーチとしても最適だと思います。
単に環境にやさしいというだけでなく、プロダクトとしての機能性や美しさを追求し、誰もが使いたくなるような、どんな場所にも自然に馴染むおしゃれな佇まいに仕上がっている。そういった点に、私たちとの共通するプロダクトへの意識を感じました。
――最後に、これからの展望を教えてください。
山澤:もっと“日常の中のサステナブル”を広げたいです。誰かのタンスで眠ってたジーンズが、世界のランウェイを歩く――そんな未来が普通になるといいなって思います。
今回のコラボポーチも、元は誰かが履いていたジーンズです。それが新しい形に生まれ変わって、時代を超えて誰かの人生を共にして、そのストーリーが刻まれていく。そんなストーリーを生み出していきたいと思います。
■“香らない”からこそ伝わる、本質の美しさとものづくりの哲学。
THE UNSCENTED COMPANYとヤマサワプレスの出会いは、感性と技術が響き合う新しいクリエイションのかたちを私たちに示してくれました。
素材に耳を傾け、ゼロから価値を生み出す——その姿勢は、サステナブルという言葉に新たな深みを与えています。
伊勢丹という場を通して交差したこのコラボレーションが、未来のものづくりに向けた静かな、しかし確かな一歩となることを願って。